天然の木材を、紙のように薄くスライスした板を“突板”といいます。
古くは鉋で“突いて”(強く押して)削り出す製作方法がとられていたため、“突板”と書きます。
壁面・ドア・フローリングなどの建築物の内装や家具、楽器、高級車の内装など、様々な場面で装飾表面材として使用されています。
湾曲した面への利用や、連続した木目を演出したり、薄く加工された突板ならではの特性で、デザインの可能性が大きく広がります。
また、突板を使うことで、リーズナブルに貴重な高級木材を利用することができます。
天然素材ならではの温かみのある手触り・風合いや、自然の中で育まれた一本一本異なるオンリーワンの表情をお楽しみください。

突板ができるまで

原木の選定
日本人の繊細な審美眼に育まれてきたこの国の突板文化は世界でも最高の水準にあります。
そのような価値基準に応えるためマルケイは長年の経験をもとに世界各国、 現地まで足を運び直接買い付けを行っています。

製材
木は自然からの賜り物。1本とて同じものがありません。
木なり、年輪、 皮肌の手触り、香り、五感で得られるさまざな情報からもっともふさわしい木取りを行います。

スライス加工
国内突板のスタンダードは厚み0.2mm~0.3mm。
わずかな不良も見逃さないため目と指先に全神経を集中します。
スライス加工は0.1mm~6mmまで、様々な用途にお応えします。

乾燥
スライス直後の木材は果実のように水分を含んでいます。
色変わりや変形を避け美しく乾燥させるため機械による高周波乾燥か空気乾燥かを選択します。

突板の品質について

自然の中に育つ木は、たとえ同じ樹種であっても平坦なところに育つものもあれば急斜面に踏ん張るもの、絶えず鳥に啄まれるもの、山火事に見舞われるもの、それぞれの歴史を背負いつつゆっくりと年輪を刻んでゆきます。
一本一本で異なる色や柄、そこに生まれる表情の違い。木理の中で交錯する規則と不規則、そこに生まれるゆらぎ。二本として同じ歴史を有さない木、そこに生まれる再現不可能な一回性。これらは自然物たる木に宿る大いなる価値であり、貴い美であります。

一方で、その自然さゆえにトラブルを引き起こすこともしばしばです。
リンゴと聞いて脳裡に描く理想のリンゴが各人によって異なるように、木に対する認識もまた人それぞれでありますから、その理想と現実とのギャップが製品のクレームとなります。
弊社の扱う突板製品によくある例では、思っていたよりも色が黒い、目が曲がっている、節が並ぶのが不自然、突板の幅が想像よりも狭い、などです。
ウェブサイトやカタログの見本画像だけでは説明できない細かなニュアンスが非常に多いのが突板製品の常でありますから、我々はこの不確実性を可能な限り排して、お客様に分かりやすく製品をご提案させて頂かねばなりません。

そこで弊社ではこれらトラブルを未然に防ぐため、実際に製作に使用する突板だけをサイト上に掲載しています。
従来の単なる見本画像のような木目のアップではなく、掲載されている突板画像がそのまま製品となります。4’×8’や3’×6’などパネルサイズに基づいた画像となっておりますのでイメージを容易に掴むことが可能です。
また、同じ一本の木から作られた突板でも、カットする位置や貼り方一つで製品の表情はかなり異なってきます。
順番に並べて貼るスリップマッチ、本の見開きのように中心を軸に二枚一対のシンメトリーを組んで貼るブックマッチ、白太や節を織り交ぜながら貼るランダムマッチなど、いくつかのパターンを比べながら、お望みの仕様を決めて頂けます。